
一般的に売れにくいとされている旗竿地。そのユニークな形状から通常の整形地とは異なる性質を持ちます。
今回は旗竿地特有の売却におけるメリット・デメリット等を把握して、よりスムーズな売却活動ができるよう詳しくご説明していきます。
目次
旗竿地とは?
旗竿地(はたざおち)は、敷地の形状が、道路に接する細長い通路(竿)の先に、家を建てられる広い土地(旗)があるような形をしている土地のことです。正式には「路地状敷地」とも呼ばれます。
この形状は、主に建築基準法で定められた「接道義務」を満たすために生まれたものです。
建築基準法では、建物を建てる土地は、原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないとされています。旗竿地は、この接道義務を満たすために、奥まった土地でも道路まで細い通路を設けていることが多いです。

旗竿地は、正方形や長方形のような「整形地」とは異なる「不整形地」の一種です。これは、都市部や住宅密集地で広い土地を分割する際に発生することが一般的で、珍しい土地ではありません。
土地の分割は、高額な土地の価格を下げるためや、使いやすい広さにすることで売却しやすくするために行われます。この分割の過程で、建築基準法で定められた「接道義務」(幅4m以上の道路に2m以上接すること)を満たすために、道路に面していない奥まった土地から細い通路を設ける必要があり、結果として旗竿地の形状が生まれます。 また、時には長細い整形地に分割するよりも、あえて旗竿状にすることで、それぞれの区画の使い勝手が良くなるように分割されるケースもあります。しかし、その特殊な形状ゆえに、様々なデメリットが生じやすく、売却が難しいと言われることがあります。
旗竿地のメリット
売却する際のメリットは、以下のような点が挙げられます
価格が安い傾向にあるため、検討されやすい
一般的に、旗竿地は整形地と比べて評価が低く、購入価格が安くなる傾向があります。これは売主にとってはデメリットですが、買い手にとってはメリットとなり、結果的に購入検討者が現れる可能性を高めます。
プライバシーが確保されやすい
道路から奥まった位置に建物が建つため、通行人の視線が届きにくく、プライバシーが守られやすいという特徴があります。特に静かな住環境を求める買い手にはアピールポイントとなることがあります。
通路部分の活用
通路部分を駐車場やアプローチとして活用できるため、整形地では難しい駐車スペースの確保や、ユニークなアプローチのデザインが可能です。
旗竿地のデメリット
旗竿地は、その形状から売却においていくつかのデメリットがあります
売却価格が安くなる傾向がある
旗竿地は、一般的に整形地よりも土地の評価が低く、売却価格が安くなることが多いです。奥行き価格補正率や間口狭小補正率といった補正が入り、評価額が下がることが要因です。
日当たりや風通しが悪い場合がある
周囲を他の建物に囲まれている場合は、日当たりや風通しが悪くなる可能性があります。居住性を左右する重要な要素となり、敬遠される原因にもなり得ます。
再建築不可となる可能性がある
最も注意すべき点は、建築基準法の接道義務を満たしていない場合、「再建築不可」となる可能性があることです。これは、現在の建物を解体してしまうと、新しく建物を建てることができない土地になってしまうということです。
特に、昔建てられた旗竿地では、接道部分の幅が2m未満の場合があり、この状態だと原則として建て替えができません。再建築不可の土地は買い手が非常に限定され、売却が難しくなります。
建築・解体費用が高額になる場合がある
通路部分が狭い場合、重機や大型車両の搬入が難しく、手作業での工事が増えるため、建築費用や将来的な解体費用が高くなる傾向があります。
旗竿地を売却する上でのポイント
旗竿地の売却は、専門的な知識と戦略が必要です。以下の点を踏まえて進めることをお勧めします。
接道義務の確認
まず、ご自身の旗竿地が現在の建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接しているか)を満たしているかを確認することが最重要です。これが満たされていないと、再建築不可となり、売却の難易度が格段に上がります。
売れやすい特徴をアピールする
- 「竿」部分(通路部分)のゆとり
- 良好な日当たりと風通し
- プライバシーと防犯への配慮
旗竿地で売れやすい家は、竿部分の広さと住環境への配慮が重要です。具体的には、重機や駐車に十分な幅(3m以上推奨)がある竿部分や、複数台駐車可能なスペースが確保されていると魅力的です。
また、周囲に囲まれがちな旗竿地では、2階リビングや吹き抜け・天窓、適切な窓配置、コの字・L字型の間取りなどで日当たりと風通しを確保していることが高く評価されます。さらに、奥まった立地特性を活かし、プライバシーを守りつつ防犯対策も充実していると良いでしょう。駅や商業施設へのアクセスが良いなど、立地条件の良さも売却を有利にする要因となります。
まとめ

旗竿地のような特殊な形状の土地の売却においては、経験実績が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。一般的な不動産会社では旗竿地の売却ノウハウが不足している場合があります。旗竿地の取り扱いに慣れている会社であれば、買主に対してデメリットを補うメリット(プライバシーの確保など)を上手にアピールしたり、適切な価格設定のアドバイスをしてくれるでしょう。
旗竿地の売却は、一般的な土地に比べて難易度が高い売却活動ですが、不動産会社選びは査定之助にお任せください。
適切な戦略を立て、専門家と協力することが重要です。まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの会社の旗竿地の売却実績や提案力を比較検討することから始めてみてはいかがでしょうか。