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離婚時の売却で注意すべきことは?

離婚という大きな人生の節目において、住まいの扱いは精神的にも経済的にも非常に重要な問題です。特に住宅ローンが残っている場合は、慎重な判断が求められます。

注意点やタイミング、住み続ける場合との比較について整理しました。

離婚時の売却でまず確認すべき「3つのこと」

アンダーローンかオーバーローンか

離婚に伴う不動産売却において、まず最初に行うべきは「住宅ローンの残債確認」です。

売却代金でローンを完済できるかどうかによって、その後の手続きや選択肢が根本から変わってくるため、事前の正確な把握が欠かせません。もしローンが残っている場合は、現在の状況が「アンダーローン(完済可能)」なのか「オーバーローン(借金が残る)」なのかを見極めた上で、具体的な売却の手法や売り出すタイミングについて夫婦間で十分に協議し、方針を固めてから活動を開始することが成功の鍵となります。

アンダーローン
家の売却額より住宅ローン残高が少ないことです。売却益を夫婦で分け合えます。

オーバーローン
家の売却額より住宅ローンの残高が高いことです。家を売っても借金が残るため、差額を現金で補填するか、任意売却(銀行の許可を得て売却)が必要になります。

名義人の確認

離婚に際して自宅を売却する際は、まず不動産の名義が夫婦のどちらか一方なのか、あるいは共有名義なのかを正確に把握する必要があります。不動産を売却する法的な権利は名義人にのみ認められているため、名義人以外が独断で売却を進めることはできず、必ず本人の承諾を得なければなりません。
特に夫婦の共有名義となっている物件を丸ごと売却する場合には、双方の合意が不可欠となります。法的には自分の持ち分(持分権)だけであれば単独で売却することも可能ですが、実態としては後の深刻なトラブルを招くリスクが非常に高いため、名義関係を明確にした上で互いの同意のもと手続きを進めることが、円満な解決への欠かせない条件となります。

財産分与のルール

財産分与とは、結婚生活の中で夫婦が協力して築き上げた資産を公平に分け合う手続きですが、双方が合意すれば配分を柔軟に変更することも可能です。
離婚の際に財産分与の話し合いがまとまらなかったり、手付かずだったりした場合でも、離婚成立から2年以内であれば、後から分与を請求する権利が認められています。
ただし、この2年という期間(除斥期間)を過ぎてしまうと、たとえ分け合うべき財産が残っていても、法的に請求することが一切できなくなってしまいます。そのため、財産分与を希望される場合は、できるだけ余裕を持って早めに準備を進めることが非常に重要です。
具体的な手続きとしては、家庭裁判所へ財産分与の調停を申し立てる形となります。期限内にこの申し立てさえ済ませておけば、実際の調停や審理が長引いて2年が経過してしまったとしても、権利を失う心配はありません。

「売却」か「住み続ける」かのメリット・デメリット

夫婦のどちらかがその家に「住み続ける」のか、あるいは二人とも「退去して手放す(売却)」のかという選択によって、必要となる手続きや具体的な行動指針が大きく異なってきます。ご自身が置かれている状況に合わせて、取るべきアクションを慎重に見極めることが大切です。

売却する場合

どちらかが住み続ける場合

売り時は「離婚前」と「離婚後」どちらがおすすめ?

一般的には「離婚前」に目処を立てるのがスムーズです。

離婚前に売却するメリット

離婚届を提出する前の段階で自宅の売却を完了させることには、金銭面と手続きの円滑化という二つのメリットがあります。

まず金銭的な面では、実際に売却が完了して手元に残る金額が確定するため、財産分与の協議を極めて現実的かつスムーズに進められるようになります。売却前に「査定額」だけで話し合いをしてしまうと、実際の成約価格がそれを下回った際に後からトラブルに発展しがちですが、離婚前に現金化しておくことで、諸経費やローン残債を差し引いた正確な余剰金を夫婦で公平に分配することが可能になります。

次に実務的な面では、まだ双方が協力的な姿勢を保てる段階であれば、購入希望者に対する内覧対応や室内の整理整頓などを共同で行えるという強みがあります。別居後や離婚後に一人が管理するよりも、二人のスケジュールを調整して柔軟に内覧を受け入れる方が、買い手が見つかるスピードは格段に上がります。不動産会社との連絡や書類の準備も連携して進められるため、精神的な負担を分散しながら、より好条件での売却を目指せるようになります。

離婚後に売却するメリット

離婚という大きな手続きを終えているため、相手方と直接顔を合わせたり、頻繁に連絡を取り合ったりする必要性を最小限に抑えられる点が大きな利点です。感情的な対立が残っている場合でも、不動産会社を介したやり取りをメインに据えることで、お互いのプライバシーを守りながら、それぞれの新生活のペースに合わせて売却手続きを進めることが可能になります。

また、税金面についても大きなメリットを受けられる可能性があります。居住用財産を売却した際に得られる利益(譲渡所得)から最大3,000万円を差し引くことができる「3,000万円の特別控除」という特例がありますが、離婚後に元夫婦がそれぞれの持ち分を売却する形をとることで、条件を満たせばこの控除をより有効に活用できるケースがあります。これにより、売却に伴う税金の支払いを抑え、手元に残る現金を最大化できることが期待できます。

ただし、売却手続きが完了する前に相手と連絡が取れなくなったり、協力が得られなくなったりすると、共有名義の物件は売却自体が不可能になってしまいます。離婚後の売却を選択する場合は、あらかじめ売却条件や協力体制について公正証書などで明確に約束しておき、スムーズに手続きが進むよう準備しておくことが重要です。

失敗しないためのポイント

離婚に伴う住まいの売却時期は、それぞれの夫婦が置かれた状況や心情によって千差万別です。何よりも大切なのは、新しい生活への第一歩をスムーズに踏み出せるよう、精神的な負担を最小限に抑えられるタイミングを慎重に見極め、ご自身の条件に最も適した決断を下すことです。
売却にはいくつかの手法がありますが、特にプライバシーを守りつつ迅速に解決したい場合には、不動産会社が直接物件を買い取る「買取」が非常に有効です。買取を利用すれば、一般的な仲介売却のように買い手が見つかるまで待つ必要がなく、短期間で確実に現金化できるため、財産分与の計画が立てやすくなります。また、仲介手数料が発生しないという金銭的なメリットに加え、内覧の手間やストレスを排除できる点も大きな魅力です。さらに、引き渡し後に建物の不具合が見つかっても責任を問われない「契約不適合責任」の免除が一般的であるため、売却後の将来的な不安を断ち切ることができるのも安心材料といえます。

ただし、買取と仲介のどちらを選ぶにせよ、最終的な成約価格やスピードは依頼する不動産会社の力量に大きく左右されます。そのため、会社の信頼性や実績をしっかりと見極めることはもちろん、ご自身でも物件の現状や周辺の相場環境について事前に調べておくことが、より有利な取引へとつながります。

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ご自身にとって最良の方法とタイミングを見極めることで、納得のいく形で住まいを整理し、新たな人生を前向きにスタートできることを心より願っております。