60代や70代になると、住宅の老朽化やライフスタイルの変化に伴い、住み替えを考える時期が訪れます。
子育て期を終え、リタイア後の住み替えを成功させるためには、理想のシニアライフを想像し、住まいに求める条件を明確にすることが、失敗しないための鍵です。
今回は老後の住み替えにおいて気を付けたいポイントを紹介します。
目次
住み替えの種類は大きく分けて4つ
ダウンサウジングしてマンションか戸建てへ転居
マンションは基本的に生活動線が水平に広がるため、移動が楽です。高齢者のケガの多くは自宅での転倒によるもので、特に階段の昇り降りが原因となることが多いです。その点、エレベーターが付いているマンションであれば、上下の移動が楽になり、転倒のリスクが減ります。それ以外でもマンションに住むメリットはあります。
- 利便性:便利な立地のマンションなら、車がなくても生活がしやすい
- バリアフリー:段差のない構造で、高齢者も安心して暮らせる
- セキュリティ:防犯カメラやオートロックなどの設備で安心感が得られる
- 管理の手間が少ない:庭や建物のメンテナンスが不要
- 資産運用:将来の売却がしやすい
マンション暮らしのデメリットとしては、車を所有しているのであれば別途駐車場使用料がかかることや、管理規則によってはペットが飼えない場合があります。また、近隣住戸との距離が近いため、戸建て暮らしに慣れている人は生活音が気になることもあります。
戸建て暮らしは、地方や郊外であれば家同士の距離が離れていることが多く、マンションに比べてプライバシーが保たれ、比較的静かな環境で暮らせるという利点があります。また、マンションのような管理規則がないため、自由度の高い生活が楽しめます。
一方で、マンションに比べて開口部が多いため、セキュリティ対策が必要です。また、2階建ての場合、高齢者にとっては階段の上り下りが負担になることがあります。さらに、庭の手入れなど室内だけでなく建物全体に気を配る必要があるため、負担が大きく感じられることもあります。
シニア向け住宅
マンションや戸建て住居以外に、シニア向け住宅に住むという選択肢もあります。
シニア向け住宅とは、高齢者が安心して暮らせるようバリアフリー設備が整っており、緊急時に駆け付けてくれるサービスや健康相談ができる物件です。老人ホームと違い、門限や外出の制限がなく、自分の家と同じように自由に生活することが可能です。
『サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)』は、国土交通省と厚生労働省が共同で推進しており、一定の基準をクリアしているため、入居者がより安心して自立した生活を送るための環境が整っています。
注意点としては、一定の介護が必要にった場合退去しなければならない物件もあるため、サービス内容をよく確認することが必要です。また、シニア向け住宅は通常のマンションよりも購入費用が高額であるため、慎重な資金計画が必要です。
建て替えやリフォーム
住み慣れた土地、慣れ親しんだ環境から離れたくない場合は、家の建て替えやリフォームを行うといいでしょう。
バリアフリー化はもちろん、現在2階建て住居であれば足腰に負担がかからないよう平屋建てに変更したり、寝室とトイレが近い間取りや、庭や建物のメンテナンスが少ないプランを考えるなど、老後に適した住まいに改造することが重要です。
バリアフリーリフォームは、国が運営している介護保険や市町村の補助金制度があり、条件が合えば支給されるかもしれません。
ただし、快適なシニアライフを送るためには立地が良いことが第一条件のため、将来車を手放したときに交通手段が確保できる場所でないと住みづらくなります。
逆にもし駅近などで立地が良ければ、賃貸併用住宅に建て替えて家賃収入を得ることも検討してみてもいいかもしれません。
尚、建て替えやリフォーム中には仮住まいが必要になることも考慮し、老後の生活を見据えた計画を立てることが重要です。
二世帯住宅
二世帯住宅にはいくつかのメリットとデメリットがあります。以下にそれぞれをまとめてみました。
メリット
- 子育てや介護のサポートがお互い受けやすくなる
- 急な病気や緊急時にも安心
- 建築費や光熱費を共有することで、コストを削減できる
- 住宅ローンを親子で分担することも可能
- 親世帯と子世帯が近くに住むことで、精神的な安心感が得られる
デメリット
- 完全に分離されていない場合、プライバシーの問題が発生することがある
- 親世帯と子世帯の生活リズムや価値観の違いがストレスになることがある
- 光熱費や生活費の分担方法について、トラブルが発生することがある
二世帯住宅は需要者が限られているのが現状なので、将来売却しにくいのも事実です。
昨今では子世帯と近い距離に住む「近居」を選ぶ人が増えています。
近居とは、「徒歩・自転車・車・電車で1時間以内」に行き来できる距離に住むことです。親と子の距離が近すぎず、遠すぎずという、ほどよい距離感を持って暮らすことができます。
いずれにしても子世帯と十分に話し合ってから選択するのがよいでしょう。
余裕を持った資金計画を
住み替えを考える際の資金計画は、現在の状況に大きく依存します。
まず、持ち家の査定額や年金受給額を把握し、新しい物件にどれだけの費用を充てられるかを考えましょう。また、住み替え後の生活費や突発的な出費にも対応できるよう、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
住宅ローンが残っている場合は、売却価格でローン残債を完済できるか確認する必要があります。手元の資金で新居を購入できるか、住宅ローンを組む場合は審査がクリアできるか、返済に無理がないかを十分に検討しましょう。
住み替えの流れには、「売り先行」と「買い先行」の2種類があります。
「売り先行」は資金計画が立てやすい反面、仮住まいが必要になることがあります。「買い先行」は仮住まいが不要ですが、ダブルローンのリスクがあるため、経済的な余裕が求められます。
まとめ
老後の住み替えは気を付けるべきポイントが多いため、家族ともよく話し合って最適な方法を見つけることが大切です。そして、今の家の価値を知るために一度不動産査定を受けてみることをお勧めします。
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