不動産を活用すれば、相続税の負担を大きく減らすことができます。不動産の相続税評価額は時価よりも低く評価されるため、その分相続税が少なく計算されるからです。
相続税は生前の準備次第で、大幅に節税できる可能性のある税金といえます。
この記事では、不動産で相続税対策をするために、不動産に関する相続税の仕組みやどのようにすれば節税できるのかを解説します。
目次
なぜ不動産で相続税の対策ができるのか
現金や銀行預金などの金融資産を相続するよりも、不動産を相続した方が相続税は安くなります。
なぜなら、1億円で購入した不動産は、相続財産としては1億円よりも安い金額で評価されるからです。
また、不動産をどのように利用しているかでも評価額は変わります。
不動産は土地と家屋(建物)に分けられ評価の仕方が異なるので、それぞれについて見ていきましょう。
家屋の評価方法
家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。
家屋の固定資産税評価額は、下記のような要素を考慮して、3年に一度の頻度で計算されます。
- 建築素材
- 構造
- 用途
- 経過年数
家屋の構造の種類や築年数などによって固定資産税評価額は増減します。木造よりも鉄筋コンクリート造や鉄骨造、築年数が古いよりも浅い方が、固定資産税評価額、すなわち相続税評価額は高くなるのが一般的です。
また、物件を賃貸に出している場合には、その分だけ固定資産税評価額から減額して評価されます。
土地の評価方法
土地の相続税評価額の計算方法は、主に以下の2つの方法があります。
- 路線価に基づいて評価する「路線価方式」
- 固定資産税評価額に基づいて評価する「倍率方式」
路線価方式
「路線価」とは国税庁が公表している土地価格で、相続税や贈与税を計算する基礎となります。
路線(道路)ごとに価格が決められており、その路線に面する土地の評価額は、「1㎡あたりの価格×土地面積」です。
なお、路線価は国土交通省が公表している不動産売買の参考価格とされる「公示価格」よりも、20%程低く評価されているのが特徴です。
倍率方式
路線価はすべての土地に定められているわけではないので、路線価が定められていない地域については、固定資産税評価額を基にして評価されます。
ただし、固定資産税評価額をそのまま使うのではなく、これに一定の倍率をかけた金額となるのです。
その土地の固定資産税評価額に地域、地目ごとに定められた倍率を乗じて算出します。
評価倍率は、「国税庁のホームページ」で確認できます。
不動産を活用した相続税の対策
不動産の相続税評価額が、購入価格よりも安くなる仕組みを活用することで、相続税の節税ができることを解説しました。
では次に、不動産を活用した相続税対策の具体的な方法を紹介します。
対策1. 小規模宅地等の特例を活用する
小規模宅地等の特例とは、要件を満たせば土地の相続税評価額を一定の割合で減額できるという特例です。
たとえば、賃貸のアパートやマンション経営をしている土地の場合、「貸付事業用宅地等」に該当する宅地等は、200㎡までの土地の相続税評価額を50%減額できます。
ただし、下記のような条件があるので注意が必要です。
被相続人の事業を引き継ぎ、相続税の申告期限までその事業を営んでいること、その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること
また、被相続人が居住していた宅地は、要件を満たすと330㎡を限度に相続税評価額を80%減額できます。詳しい内容は、国税庁のホームページをご確認ください。
小規模宅地等の特例は要件が複雑であるため、活用を検討する場合は必ず税理士に確認するようにしましょう。
対策2. アパートやマンション経営をする
先ほど家屋の評価方法で述べた通り、不動産を賃貸に出している場合は、ただ不動産を所有している場合よりもさらに評価額が減額されます。
そのため、アパートやマンションの経営は、相続税対策となるのです。
土地や家屋の評価額を計算する際には、借地権割合や賃貸割合に応じて評価額が下がります。
また、アパートやマンションを建てたり購入したりする際に、アパートローンを利用していればさらに相続税を軽減できます。相続発生時にローンが残っていた場合、相続税評価額を下げられるためです。
現金を相続財産とするよりも不動産を相続財産にした方が、相続税を節税する手段が多くあるのです。
対策3. 不動産を売却する
収益性が低い不動産は、相続までに売却して以下のような対策を検討するのもひとつです。
- 不動産を売却して住宅取得資金贈与をする
- 不動産を売却して教育資金の一括贈与をする
- 不動産を売却してお墓や仏壇などの祭祀財産を購入する
- 収益性の低い不動産を売却して新たな不動産を購入する
不動産を売却して住宅取得資金贈与をする
子や孫が住宅を建てたり購入したりするための資金として贈与をすることで、最大1,000万円までの贈与が非課税となります。
そのため、相続が発生するまでに不動産を売却して、売却資金を住宅取得資金として贈与をしておけば、相続財産を減らせるので節税につながります。
贈与を受けられる人は、所得が2,000万円以下かつ18歳以上の血縁関係がある子どもや孫などです。詳しい要件については、国税庁のホームページをご確認ください。
不動産を売却して教育資金の一括贈与をする
親や祖父母が、子や孫の教育資金を贈与する場合、一定の条件を満たせば最大1,500万円の教育資金を非課税で贈与できます。
住宅取得資金贈与と同様に、相続が発生するまでに不動産を売却して教育資金の贈与をしておけば、相続財産を減らせます。
この特例は、30歳以下の血縁関係がある子どもや孫などに贈与する場合が対象です。令和5年度の税制改正によって、適用期限が令和5年3月31日から令和8年3月31日まで延長されました。
詳しい要件については、国税庁のホームページをご確認ください。
不動産を売却してお墓や仏壇などの祭祀財産を購入する
不動産を売却して得た資金で、墓地や墓石、仏壇などの祭祀財産(さいしざいさん)を生前に購入しておけば、相続財産が減り節税につながります。
生前に祭祀財産を購入しても、相続税はかかりません。祭祀財産の購入費用は100万円単位でかかることも多いでしょう。
収益性が低い不動産を所有していても、固定資産税の支払いや相続時に相続税もかかるため、不動産を売却して祭祀財産の購入に活用するのもひとつの方法です。
収益性の低い不動産を売却して新たな不動産を購入する
空き家にしていたり、更地のままで放置していたりする不動産があれば、売却して節税効果が高い投資用マンションなどを購入するのもいいでしょう。
不動産を相続財産とするのであれば、扱いに困るような不動産ではなく、節税効果のある不動産の方が相続した人に喜ばれることは間違いありません。
いずれにせよ、自分の所有する不動産にはどれだけの価値があるのか、売却した場合にはどれほどの金額になるのかを、きちんと把握しておく必要があります。
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まとめ
相続税対策として、不動産を有効に活用すれば大きな節税効果が見込めます。
不動産をどのような形で残すのか、生前に考えたうえで対策しておけば、より大きな節税効果を得ることができます。
不動産の相続を考えるのであれば、不動産の無料一括査定サイトを利用して、所有する不動産の価値を一度把握しておくといいでしょう。
査定額を参考に、どのような形で不動産を相続すべきかを考えてみてはいかがでしょうか?