転勤や相続、家族の事情や、家を建てたいなど、マンションの売却を検討する機会があるでしょう。
この記事ではマンションを売ろうか悩んでいる方に向けて下記の3つについて解説します。
・マンション売却の簡単な流れ
・ローンが残っているマンションを売る詳しい流れ
・早く、高くマンションを売る方法
「何から始めたら良いのか分からない」
「ローンが残っている場合はどうしたら良いの?」
「マンション売却で損をしたくない」とお悩みの方はぜひお読みください。
マンション売却の簡単な流れ
まずはマンション売却の大まかな流れを確認しておきましょう。
①情報収集
「マンションを売りたい」と思ったら、まずは情報収集から始めると良いでしょう。
どんな情報を集めるかというと、
「同じマンションで売りに出されている部屋がないか?」「周辺物件の過去の取引事例」などです。
マンション査定前にこれらの情報を見ておくことで、ある程度価格を想定することができるでしょう。
周辺物件の過去の取引事例は、『レインズ( REINS Market Informaition)』または『国交省 土地総合情報システム』で知ることができます。
②一括査定
ある程度情報収集をしたら、次は実際に不動産会社へ査定を依頼します。
最近はインターネットでの査定サービスが充実しているため、マンション売却をするほとんどの方がインターネットを利用して査定の依頼を行っています。
その際、いくつかの不動産会社に査定を依頼することで、より良い不動産会社に売却を依頼することができるでしょう。
一度に複数の不動産会社に査定依頼ができる『不動産一括査定サービス』を利用すると便利です。
③媒介契約
マンションを売却する際、一般的には不動産会社にマンション購入希望者を探してもらい、売買契約の仲介を行ってもらいます。
その為に不動産会社と結ぶ契約が、媒介契約になります。
この媒介契約には3タイプあり、不動産会社との媒介契約を結ぶときにどのタイプで契約するのかを選択することができます。
それぞれのタイプの特徴を簡単にまとめると以下の通り。
媒介契約の種類 | 他業者への依頼 | 自己発見取引 |
一般媒介 | ○可能 | ○可能 |
専任媒介 | ×禁止 | ○可能 |
専属専任媒介 | ×禁止 | ×禁止 |
媒介契約のタイプが「専任媒介」や「専属専任媒介」だと、自分で見つけた購入者との取引ができないなどの禁止事項があります。
一方でこの媒介契約を結んだ不動産業者は、物件が売れた際には必ず報酬が入るためモチベーションが上がり早期売却に繋がりやすいという特徴があります。
④売却活動開始
不動産会社と媒介契約を結んだ後は、マンションを売るために売却活動を始めます。
購入希望者が現れたら、内覧をおこないます。
住んでいる状態で売却を進めている場合は、内覧に立ち会うことが一般的。
⑤売買契約
内覧を経て、希望者の購入意思が固まったら売買契約を結びます。
通常、売買契約時に手付金として売買金額の5%〜10%が支払われます。
⑥決済・引き渡し
マンションの売買契約書に書かれている期日に、マンションの引き渡しを行います。
一般的に、マンションの引き渡し日と決済日はおなじ日に設定されています。
売買代金の残り(手付金を除いた額)を受け取り、決済が完了したことを確認の上、司法書士が代理で所有権の移転登記申請を行い購入者に鍵を渡します。
ローンが残っているマンションを売る詳しい流れ
ここからは、ローンが残っているマンションを売る流れを詳しく解説していきます。
【Step 1.】ローンがいくら残っているかを確認
まずは、現状を把握するためにローンがいくら残っているかを確認しておきましょう。
金融機関から送られてくる返済予定表、または毎年10月頃郵送されてくる残高証明書で確認することができます。
無くしてしまった方は金融機関へ問い合わせてみましょう。
ローンがまだ残っている場合、マンションには抵当権(ていとうけん)がついています。
抵当権とは、住宅ローンを借りる際の担保のこと。
抵当権がついたまま売却することも可能ですが、リスクがあり需要が少ないためよっぽどのことがない限りオススメしません。
基本的には、マンションを売却するためには抵当権の抹消が必要になります。
抵当権を抹消するには、住宅ローンの完済が条件です。
「あれ、ローンを完済しないと売れないの?」と思うかもしれませんが、
マンション売却のお金をそのままローンの返済に充てることで抵当権の抹消をすることがほとんど。
ローンが残ったままでも売却活動をすることができ、購入者が決まり売却代金を受け取ってから抵当権を抹消・不動産移転登記の流れになります。
ー売却金額だけでは完済できない場合ー
例えば、ローンの残高が2000万円あり売却金額が1500万円の場合。
売却金額をローンの返済に充てても、500万円の残債が残ってしまいます。
こういった場合「差額を自己資金で一括返済する」か「住み替えローン」を利用する2つのパターンがあります。
●「差額を自己資金で一括返済する」場合、差額の500万円を一括で支払う必要があります。
自己資金に余裕があり、差額が小さい金額の場合はこちらが良いでしょう。
●「住み替えローン」は、次に住む家が賃貸ではなく、購入する場合に利用できます。
今回の差額500万円と、次に購入する物件の代金をまとめてローンを組む方法です。
こうすることで一括で支払う必要はなくなりますが、ローンをしっかり支払っていけるかじっくりと検討する必要があります。
ー相続したマンションにローンが残っていた場合ー
団体信用生命保険(団信)に加入していたか確認してみましょう。
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンを契約した人が死亡したり、高度障害を負ったりした場合、残っているローンを保険会社が金融機関へ支払ってくれる生命保険です。
こちらを利用することができれば、相続者はローンを返済する必要がなくなります。
【Step 2.】売却スケジュールを立てる
一般的に売却までは4〜6ヶ月ほどかかります。
転勤や買い替えなどの理由で売却を急ぎたい場合には、早めに行動することをオススメします。
早めに行動することで売却するまでの期間に余裕ができ、焦ってマンションを安い価格で売ってしまうことを防ぐことができるでしょう。
【Step 3.】不動産一括査定
売却するためにはまず、不動産会社を通して買い主を見つける必要があります。
大切なのはどこの不動産会社に任せるか。
不動産の売却をするのが初めての方は、「どこの不動産会社に任せたら良いか?」
なかなか難しいですよね。
身内に不動産会社の人がいるといった理由が無い限り、複数社に見積もりを取ることをおすすめします。
複数社に見積もりを取ることで、価格はもちろん、その他のサービスを比較することができます。
比較をすることでより良い不動産会社を見つけることができるでしょう。
一括査定を使うと、自分で複数の不動産会社を見つける手間が省けます。
こちらの記事でも一括査定のメリットをご紹介しているのでぜひご覧ください。
家の売却が成功するかは不動産会社選びで決まる!見積もりは必ず複数社取るべき理由!
【Step 4.】媒介契約(ばいかいけいやく)
複数の不動産会社を比較し、良い不動産会社を見つけたら媒介契約を結びます。
前述した通り、契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、売り主の方がどれを選ぶか決めることができます。
【Step 5.】販売活動開始
不動産会社と媒介契約を結んだあとは、不動産会社と二人三脚で販売活動を行なっていきます。
媒介契約後、不動産会社はレインズという不動産会社専用の物件登録サイトにマンションを登録。
たくさんの不動産会社が物件の情報を見ることができます。
営業活動などは担当の不動産会社が行い、売り主はそこから問い合わせのきた方へ内覧の対応をします。
【Step 6.】売買契約
売り主と買い主双方で条件の合意が得られたら契約を結びます。
この時点では抵当権がまだ残っている状態なので、売却金でローンを返済し抵当権を抹消する旨を伝えておく必要があるでしょう。
問題なく売買契約を結んだ時点で、手付金が支払われます。
最初の売り出し価格より、少し低い金額で売却されることが多いので念頭に置いておきましょう。
【Step 7.】売却金額支払い・物件引き渡し
物件の最終立ち合い、引き渡しを行い残金の全額が支払われます。
必要な書類は、権利証(登記済証・登記識別情報)・不動産の評価証明書(もしくは公課証明書)など。
事前に不動産会社から必要な物を伝えられるので、用意しておきましょう。
【Step 8.】ローン完済
受け取った売却代金でローンの返済を行い、いまのマンションのローンを完済します。
完済すると抵当権抹消に必要な書類が発行されるので、その必要書類を司法書士へ渡し抵当権抹消を依頼します。
【Step 9.】抵当権抹消
物件の引き渡し当日に、司法書士が抵当権抹消・Step10の不動産移転登記まで行うのが一般的です。
抵当権抹消にかかる費用は、司法書士の報酬も含めおおよそ2万円〜2.5万円が相場。
【Step 10.】不動産移転登記
マンションの移転登記(所有の権利を移す手続き)を行うことで売買が完了します。
ちなみに不動産の移転登記に関わる費用は、買い主の負担になります。
早く・高くマンションを売る方法
大切な資産を手放す際、損はしたくないですよね。
ここからは、「早く」「高く」マンションを売る方法についてご紹介します。
マンションを早く売る方法
マンションをなるべく早く売りたい場合、『買取』を選ぶと良いでしょう。
『買取』とは、不動産会社にマンションを直接買い取ってもらう方法で、早いと1ヶ月前後で手放すことができます。
一般的な『仲介』を選ぶと3〜6ヶ月近く期間がかかるので、「とにかく早く売りたい!」方は『買取』を選ぶと良いでしょう。
ただし、売却金額は2〜3割ほど安くなる傾向にあるので注意が必要です。
マンションを高く売る方法
マンションを高く売るためには、『仲介』を選びましょう。
『仲介』は一般的な売却の方法で、希望売却価格に近い金額で買主を探すことができます。
マンションを仲介で売却する際は、いくつかの不動産会社を比較し、より良い不動産会社に任せることが重要です。
以下の4つのポイントを参考に比較してみると良いでしょう。
・査定金額の根拠
・マンションの売却実績
・営業の経験が豊富かどうか
・宣伝方法
中古マンションは今が売り時
マンションを高く売るには、良いタイミングで売ることが重要。
不動産はその性質上、毎年価格が変動しています。マンションももちろん、その年により価値が変わります。
そして中古マンションの価値は、近年上昇を続けています。
以下は東日本不動産流通機構が公表した中古マンションの成約状況の一覧。
このグラフを見ると2010年から2020年までの10年間、中古マンション価格が上昇を続けていることがわかります。
さらに、中古マンションの成約件数も10年間上昇し続けています。
理由としてはマンション需要が高まり、新築マンションの価格が高騰。購入しやすい中古マンションへの需要が高まっていることが考えられます。
コロナ禍においても、中古マンションの価格・契約件数は上昇しており売却を検討している方にとっては今が良いタイミングと言えるでしょう。
まとめ
不動産の売却は専門用語が多く難しく感じますが、ほとんどの場合不動産会社がリードして売却まで導いてくれるのでご安心ください。
大切なのは、信頼できる不動産会社を見つけること。
良い不動産会社を見つけるためには、一括査定で比較することをオススメします。
マンションを売却しようかどうか悩んでいる方も、一度査定でプロに値段を聞いてみるのもアリでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。