親や親族から家や土地などの不動産を相続したけれど”住む予定や使う予定がない場合”、どうすればよいか頭を悩ませてしまいますよね。
家や場所にはさまざまな思い出があると思いますが、持ち続けているだけで多くの費用や税金が発生し、金銭的に負担となってしまう場合もあります。
そこで、本記事では
・相続した不動産を売却する4つのメリット
・売却する手順
について解説します。ぜひ不動産売却のご参考にしてください。
目次
相続した不動産を売却する4つのメリット
相続した家にそのまま住む、土地を何かに活用する、などではない限り、譲り受けた不動産の扱いは非常に難しいものです。
誰も住まなくても「管理費」や「維持費」が発生し、所有する不動産は課税対象となってしまう、などコスト面でも負担がかかってきます。
一方で不動産を売却して現金化すれば、住んでいる家のローンに充てる、子どもの教育資金にする、相続税の納税資金に利用するなど、使い道は広がります。
ここでは、相続した不動産を売却する主なメリットを5つ紹介します。
- 相続した不動産を平等に分配できる
- 相続税の納税資金にできる
- 維持・管理の必要がなくなる
- 税金の特例措置が使える場合もある
1.相続した不動産を平等に分配できる
遺産が「現金」や「金融資金」であれば簡単に分割できますが、「不動産」の場合は平等に分けることが困難です。
不動産の相続では、相続人が1人の場合は問題ないですが、複数いる場合にはトラブルが起こりやすくなります。
そのような場合、不動産を売却して得られた利益を分割する方法を取ることで問題を解決できます。
不動産を売却して得られた利益を分割する方法を「換価分割」と呼び、相続分を現金で分割できるため平等に分配することが可能です。
2.相続税の納税資金にできる
財産を相続した場合、誰でも一律に「相続税」を納めることになります。
現金や預金などの金融資産を譲り受けた場合は、そのまま相続税の納税資金として使えます。
しかし不動産を相続した場合は、相続税の納税資金として、ある程度のまとまったお金が必要になってきます。
相続した不動産の評価額が高額で、相続税の用意が難しいときには、不動産を売却して納税資金にできます。
3.維持・管理の必要がなくなる
空き家であってもメンテナンスや手入れをして、周辺住民とトラブルにならないように、ある程度きれいな状態に保つ必要があります。
維持・管理には思いのほか費用がかかります。
さらに、相続した不動産が自宅から離れている場合には、管理は大変になるでしょう。
「空き家等対策特別措置法」の施行により、自治体は放置された空き家を「特定空き家」に指定することが可能となりました。
それにより、空き家を放置していると過料が発生する、行政から指導が入るということもあります。
家を売却してしまえば維持管理費や税金というコストが一切かからなくなり、物理的にも心理的にも負担が軽減できるはずです。
4.税金の特例措置が使える場合もある
不動産を売却すれば、固定資産税を払う必要がなくなります。
さらに、相続した不動産は約3年を目安に売却すると、税金が安くなる特例を適用できる可能性があるのもメリットです。
相続した不動産の売却時に使える可能性のある特例は、2種類あります。
相続財産の取得費加算の特例
相続(または遺贈)で取得した不動産を、一定期間内に第三者に売却した場合に適用できる特例です。
確定申告の際に不動産を売却して得られた利益である「譲渡所得」を求める計算において、土地や建物について支払った相続税相当の金額を「取得費」に加算することができます。
上記の特例を適用するには、下記の要件を満たす必要があります。
■相続財産の取得費加算の特例|適用要件
相続した日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
譲渡所得とは?
不動産の売却金額から必要経費(取得費と譲渡費用)を差し引いて残った金額のこと。
相続空き家の3000万円特別控除の特例
相続(または遺贈)によって取得した被相続人の居住用家屋や家屋の敷地を売却した時に、譲渡所得から最大3000万円まで控除できる特例です。
特例を適用すれば、譲渡所得が以下のように計算されます。
譲渡所得
=譲渡価格-(譲渡費用+取得費)-3000万円
確定申告による特例の申請が必要ですが、不動産を売却した価格が「3000万円以下」だった場合は、特例が適用されると納税額は0円になります。
相続空き家の3000万円特別控除の特例を受けるにはいくつかの要件があるので、以下に当てはまるかチェックしてみてください。
- 家屋が昭和56年5月31日以前に建築されていること
- 区分所有建物登記の建物ではないこと
- 相続するまでに被相続人以外が居住していないこと
- 平成28年4月1日から令和5年12月31日までの譲渡であること
- 建物が一定の耐震基準を満たしているか、または取り壊して敷地を売っていること
- 相続から譲渡までに居住や事業、貸付けに使われていないこと
- 相続開始のあった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売っていること
- 売却代金が1億円以下であること
相続した不動産を売却する手順
では、相続した不動産を売却するための具体的な流れについて解説します。
相続した不動産の売却は、通常の不動産売却よりも手順が多くなるので、しっかりと確認をしておきましょう。
【手順1】相続登記をする
不動産売却は、基本的には名義人しか行うことができません。
そのため不動産の名義変更が済んでいない場合は、まず名義変更の手続きが必要です。
不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続きを、「相続登記」といいます。
相続登記には、準備から法務局での手続きの完了までに数週間から長くて2ヶ月ほど時間がかかります。
相続登記は、自分で行えますが司法書士に依頼するのがオススメです。
また、相続を受けた場合には相続税が発生し、相続税の納付は不動産の所有者が亡くなった日の翌日から10カ月以内に行うことが決められています。
万が一10カ月を過ぎてしまうと、延滞税が課せられるため注意しましょう。
【手順2】売却を依頼する不動産会社を決める
不動産会社を選ぶ際には、複数の会社にコンタクトを取り比較したうえで依頼先を選ぶことで、納得のいく選択ができます。
自分で不動産会社を選ぶのは、とても手間がかかる作業ですが、信頼できる会社を選択しなければ後々のトラブルに発展する可能性もあるので、とても重要です。
そこでオススメなのが、「不動産の無料一括査定サイト」の利用。
情報を入力するだけで、簡単に複数社に査定を依頼することができます。
信頼できる不動産会社をみつけて、スムーズに不動産の売却を進めましょう。
【手順3】売却活動をして売買契約を結ぶ
信頼できる不動産会社を見つけたら、売却のための契約を結び、売却活動をスタートします。
売却活動は基本的に不動産会社が行ってくれるので、売主が行うことは主に
・購入希望者が現れたら必要な際に立ち会う
・価格交渉をされた場合に希望価格を不動産会社に伝える
などです。
買い主が決定したら、売買契約を交わして代金の決済を行います。
決済には、買い主と売り主、仲介会社の参加が必要です。
決済が終了したら引き渡しを行い、不動産の売却が完了します。
【手順4】確定申告を行う
相続した不動産を売却して利益が出たら税金がかかるため、確定申告を忘れずに行いましょう。
先に紹介した特例や控除を受けるためにも、確定申告が必要です。
確定申告では1月1日~12月31日までの所得を、翌年の2月16日~3月15日で申告します(社会情勢などにより変動があります)。
確定申告は定められた期限までに申告することが重要で、期限を過ぎて確定申告をすると「延滞税」や「加算税」がかかるので注意してください。
まとめ
相続した不動産にはさまざまな思いがある一方で、下記のようなメリットもあります。
- 相続した不動産を平等に分配できる
- 相続税の納税資金にできる
- 維持・管理の必要がなくなる
- 税金の特例措置が使える場合もある
売却を行う場合には、複数の査定を行い信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。
せっかく故人が遺してくれた財産を有効に活用するためにも、相続した不動産の売却を考えているなら、早めに行動することをオススメします。